更新日:2022年11月 1日
看護学専攻のご紹介
精神看護学
精神看護学
精神看護学では、以下のような前提にたって教育を行っています。
- 人の心と身体はつながっていて、互いに影響し合っている。
- 心の健康と不健康は連続線上に位置するものであり、心の健康を守る仕組みや機序は皆同じである。
- 人は病気に罹患することをきっかけに、より高いレベルへの成長・発達を遂げる。
- 当事者自身がその病気の専門家である。
大学院
1.臨床や理論の専門家から学ぶ
大学院教育では、看護コンサルテーションについて学んだり、取り組む研究のヒントが得られるように著名な講師をお招きしたりしています。
精神看護特論II 授業風景
今日のテーマは「看護コンサルテーション」でした。
県外の非常勤講師の講義を遠隔で受け、ディスカッションしました。
2. 在校生の声
愛媛県立医療技術短期大学を卒業したのち、精神科病院に就職して数十年が経過しました。新人の頃は、患者様の精神症状の変化や自身の関わる姿勢などに悩み、わからないことだらけでしたが、経験を積む中で寄り添いの看護の魅力を感じ、精神看護のやりがいを感じるようになりました。それでも、これでよいのか、もっと看護師としてできることを増やしたいと考えるようになり、大学院への進学を決めました。
大学院では、ともに学ぶ仲間が新たにできたことが何より嬉しく、授業でのディスカッションでも視野が広がり充実しています。授業以外でも、仕事の相談をしたり、アドバイスをもらったり、励まし合ったりしながら、ともに成長していることを実感しています。専門領域の演習では、先生方先輩方と研究テーマについてディスカッションしながら、先輩の研究スケジュールや内容を自分の研究に活かしています。
仕事と子育てとの両立は大変ですが、一人ではなく、周りに協力してもらいながら楽しく過ごせています。これからは、今までの経験から得られたことをより深く追及し、考え、明らかにしていくことで、新たな精神看護の魅力ややりがいを得たいです。そして、大学院での学びを、精神科看護師を目指す後輩の人材育成にも役立てたいと思っています。
【修士論文テーマ】
- 境界性パーソナリティ障害患者に否定的感情を抱く看護師が患者と向き合えるようになるまでの過程
~ターニングポイントの概念を用いて~ (平成28年度修了)
- 精神科病床における長期入院患者が地域移行に至るまでの動機づけの変化
-統合失調症に焦点をあてて- (平成30年度修了)
- 患者の自殺に遭遇した精神科看護師が不均衡状態から危機回避に至る体験
(令和元年度修了)
- 精神科看護師の看護師-患者関係における無力感を軽減させる要素
(令和3年度修了)
【領域メンバーの共同研究】
私たちは、病気の専門家はその当事者自身であると考え、当事者の体験を明らかにする研究を継続的に行っています。精神科領域においては、当事者自身の体験に関する研究の蓄積は少ないため、研究方法としては質的アプローチを主に用いています。共同で以下の研究に取り組んでいます。
1.論文
1アルコール依存症者の家族の支援プログラムに関する文献検討:越智 百枝・野嶋佐由美・中平 洋子・疋田琴乃・坂元 勇太・池田桜、高知女子大学看護学会誌、42(1)、2-10、2017
2地域で精神障害者を支援する専門職が"精神障がいにも対応した地域包括ケア"を担う看護師に期待すること:中平洋子・越智百枝・坂元勇太、愛媛県立医療技術大学紀要、17(1)、29-34、2020
3"精神障がいにも対応した地域包括ケア"を担う看護師に必要だと考える力
-医療機関や福祉事業所で働く看護職へのインタビューより-:中平洋子・疋田琴乃・越智百枝・坂元勇太、愛媛県立医療技術大学紀要、17(1)、35-41、2020
4アルコール依存症者の家族への解決志向アプローチを用いたエンパワメントプログラムの評価:越智百枝・野嶋佐由美・中平洋子・坂元勇太・疋田琴乃・池田桜、家族看護学研究、26(2)、161-172、2021
2.学会発表
1アルコール依存症者の家族への教育支援プログラムの評価
越智 百枝・野嶋佐由美・中平洋子・疋田琴乃・坂元 勇太・池田桜、第36回日本看護科学学会学、2016
2境界性パーソナリティ障害患者に否定的感情を抱く看護師が患者と向き合えるようになるまでの過程
坂元勇太・越智百枝・中平洋子、第38回日本看護科学学会、2018
3アルコール依存症者の家族への教育支援プログラムの評価―参加者自身の小さな変化への気づき―
坂元勇太・越智百枝・中平洋子・疋田琴乃・池田桜、第32回日本看護研究学会中国・四国地方会、2019
4地域で精神障がい者を支援する専門職が"精神障害にも対応した地域包括ケア"を担う看護師に期待すること
中平洋子・越智百枝・坂元勇太、第40回日本看護科学学会、2019
5Evaluation of an Empowerment Support Group Program for Families of Alcoholics, Comparison of a Group Led by Researchers versus a Group Led by Public Health Nurses
Momoe Ochi,Sayumi Nojima,Yoko Nakahira, Yuta Sakamoto, Kotono Hikita,Sakura lkeda,The 6th International Nursing Research Conference of World Academy of Nursing Science
6<ワークショップ>実践の幅が広がる-アルコール依存症者の家族へのエンパワメントプログラムとは
越智百枝・中平洋子・坂元勇太 、第8回日本公衆衛生看護学会学術集会、2020
7"精神障害にも対応した地域包括ケア"を担う看護職に必要と考える力
-医療機関や福祉事業所で働く看護職へのインタビューより-
中平洋子・越智百枝・坂元勇太、日本看護研究学会第46回学術集会、2020
8<ワークショップ>アルコール依存症者の家族へのエンパワメントプログラムPart 2-コンプリメント、解決像の構築-
越智百枝・中平洋子・坂元勇太、日本看護研究学会第47回学術集会、2021
3.報告書
1アルコール依存症者の家族のエンパワメントプログラムの評価報告書、越智百枝・野嶋佐由美・疋田琴乃・中平洋子・坂元勇太・池田桜、1~6、2015
2アルコール依存症者の家族への教育プログラムの評価研究 2012-2016年度科学研究費助成事業基盤研究(C) 研究成果報告書、越智百枝・野嶋佐由美・中平洋子・坂元勇太・大森美津子・西村美穂・疋田琴乃・池田桜・政岡敦子
3アルコール依存症者の家族へのエンパワメントプログラム介入評価に関する研究 2017-2020年度科学研究費助成事業基盤研究(C) 研究成果報告書、越智百枝・野嶋佐由美・中平洋子・坂元勇太
【エンパワメントする】
教員と、地域や病院で働く保健医療福祉のスタッフの方や当事者・家族の方双方が癒し癒され、互いに成長発達できるような活動を様々な形で行っています。
1.-のんびりやろう会-(勉強会)
年3回程度精神領域に関わっている看護師、保健師の方などで集まり、事例や話題を持ち寄って、勉強会をしています。事例を検討する回では、いろんな立場の人から意見をもらって、その時の自分のケアに意味を見出したり、新たな気づきを得たりして、事例を出した人も、意見を言った人も参加者みんなが元気になっています。
2.アルコール依存症者の家族への教育支援プログラム
現在取り組んでいる研究で、アルコール依存症の家族の方へ解決志向アプローチ(SFA)を用いたプログラムを行っています。家族の方が、自分が既にもっている力に気づき、さらに高いレベルへと当事者の方も含め成長していけるようなプログラムです。