更新日:2017年6月12日

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自著を語る

看護学科・窪田静(愛媛県立医療技術大学准教授)
書影 て・あーてと福祉用具を活用したある地方病院の取り組み・全3巻
【監修】
健和会臨床看護学研究所所長日本赤十字看護大学名誉教授
川嶋みどり
愛媛県立医療技術大学准教授健和会補助器具センター前所長
窪田静
東京シネ・ビデオ株式会社企画・制作・著作 2017年

福祉用具は、「寝たきり老人がいない国」デンマークと「寝たきり大国、二次障害大国」日本の大きな違いの一つです。30年前にそれを識り、私はデンマークから日本への福祉用具導入、助成制度創設、使用技術開発と啓発に努めてきました。しかしそれは在宅ケア主軸の実践に留まり、病院の看護現場は途方もなく遅れたままであること...学生を臨床に送り出す教員という立場になった時、この事実に直面させられました。在宅看護論の授業で教授するリフトやスライディングシートが、学生達が就職する病院にはほとんど存在しないのです。
福祉用具を使わず患者を持ち上げる看護が、腰痛による離職と莫大な労災補償を生んでいることに対し、欧米豪の看護師職能集団は様々なアクションを起こし、法改正まで実現してきました。また福祉用具を使わない看護が患者を引き摺り、局所に強い力をかけざるを得ないこと、患者の皮膚や運動器を損傷させることも重大視されています。同時に移動や移乗をしない「寝かせきり」は虐待であると認識されているため、リフトは水道に匹敵し、「感染対策」と同等の重みを持って遵守されているのです。しかし日本で腰痛は「職業病」=解決策の無い宿命であるか、「技術不足」=個人の資質の問題という認識に留まっているのです。
このDVDはそんな日本の現状を打開する一つの鍵を示したと言えるでしょう。全3巻の構成は、「患者の治る力を引き出す」「福祉用具を活用し、仲間が辞めない職場づくり」「患者の生きる力を引き出す」です。看護に真摯に向き合ってきた看護師集団が、私が講師を務めた川嶋みどり先生のて・あーて塾「ポジショニング」編で福祉用具と出逢い、福祉用具は患者と看護師を遠ざけるものではないこと。むしろより近くするための必需品であること」「看護師が疲弊せず、看護を取り戻し、実践し続けていくのに不可欠であること」に気付きました。その結果看護は、リハは、病院はどう変わったか? ありのままの3日間を撮影したDVDにはこんな声があふれています。

☆身体を乗せてもスルスル動かせる、摩擦の低い布でできた【スライディングマットでストレッチャーから浴槽やレントゲンの台へ移乗。【ボード】や【リフト】でベッドから車いすへ移乗。病棟に響いていた"せーの!"のかけ声が消えました。
☆バラバラになりそうだった身体が癒された。身体をこわして辞める仲間がいなくなった。
☆バランスの悪い患者を、後ろから支える必要が無い【背面開放座位保持具】は、。患者の顔を見ながらケアできるし、片側に倒れていく症状も改善していく。
☆【スライディングシート】を用いると、腹臥位療法(顕著な酸素化等様々な効果をもたらす)がスムーズに実践できる。
☆【リフト】で吊り下げた患者は、筋緊張がゆるみ、硬く屈曲した膝が揺れ始め、喉のゼロゼロまで落ち着いていく。
☆リフトを使って初めて歩行訓練が可能になった重度四肢麻痺の患者。それまでは、できないことばかり体験していた。リフト歩行は患者の生きる力を引き出した。
☆入院中使っていた福祉用具を家で使えば安心。病院でリフトやスライディングシートが当たり前に使われるようになれば、在宅移行支援が変わる。

日本の病院が変わっていくこと、卒業生が希望を持って病院で働き続けられるようになることを願い、川嶋みどり先生とともに監修し、解説いたしました。

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