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更新日:2020年1月16日

医療技術科学専攻のご紹介

医療技術科学専攻 遺伝子生命科学 教授 檜枝美紀

プロフィール
1998年:日本学術振興会特別研究員
1994年:大阪大学大学院医学研究科博士後期課程修了博士(医学)
2001年:英国オックスフォード大学博士研究員
2004年:愛媛大学大学院医学系研究科助手、助教
2008年:愛大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻、特任助教、特任講師
2016年:愛媛県立医療技術大学保健科学部臨床検査学科教授

担当科目

医療技術科学研究方法論(専門共通)、遺伝子生命科学特論、遺伝子生命科学演習、特別研究(専門科目)

研究紹介

真核生物である私たちの体は約37兆個の細胞からできており、個々の細胞の中には生体膜で囲まれた核やミトコンドリア、ゴルジ体などの細胞内小器官が存在します。そして細胞の様々な場所で、多様な生化学反応が起こっています。細胞小器官の一つである『細胞核』は核膜内膜、核膜外膜と呼ばれる2枚の生体膜で囲まれており、遺伝情報であるゲノムの保持と複製、遺伝情報発現の出発点である転写が行われています。そして細胞は細胞内外の情報を核へ集約し、転写制御を行い、個体の恒常性を維持しています。 核と細胞質を隔てる核膜には100種類以上の多様なタンパク質が存在することが明らかになっています。その中にLINC複合体と呼ばれるタンパク質複合体が存在しており、LINC複合体の構成因子や、複合体と相互作用する因子をコードする遺伝子に変異がはいると、エメリー・ドレイフィス型筋ジストロフィー (EDMD) や、ハッチンソン・ギルフォード早老症 (HGPS)、リポジストロフィ、先天性拡張型心筋症、家族性自閉症など、一連の遺伝性疾患を引き起こすことが明らかにされています。これらの疾患は核膜タンパク質とその相互作用タンパク質をコードする遺伝子の変異により発症するため、核膜病と呼ばれています。これら疾患の発症メカニズムはいずれもよくわかっておらず、治療法も確立されていません。私たちは、核膜の構造と機能を理解することを目的として、次の2点を軸に研究をすすめています。そしてこれらの研究から、核膜タンパク質の核膜病へ関与を分子レベルで明らかにし、治療法の確立、創薬の開発への道筋を探りたいと考えています。

1.LINC複合体による細胞内小器官の構築制御メカニズムの解明

核膜内膜を貫通するSUNタンパク質と核膜外膜を貫通するnesprinタンパク質は核膜間腔において相互作用しています(図)。SUNタンパク質の核質領域は、lamin A/Cなど核骨格と結合します。一方、nesprinの細胞質領域はアクチン等の細胞骨格と結合します。そのため、SUN/nesprin複合体は核骨格と細胞骨格を物理的に繋ぎ、LINC (Linker of Nucleoskeleton and Cytoskeleton) 複合体と呼ばれています。私たちはLINC複合体が細胞内小器官を細胞内に適切に配置するために必要であることを見出し、現在その分子メカニズムを解析しています。

2.LINC複合体によるメカノシグナリングメカニズムの解明

細胞はおかれた場の硬さなどの細胞外物理的環境に応答して、細胞の運命決定を行います。細胞が細胞膜で受け取った力刺激は、細胞骨格を経て、細胞骨格に繋がるLINC複合体を使用して核へ伝達されます。私たちはLINC複合体による核内への力刺激伝達メカニズムの解明に取り組んでいます。

最近の業績

  • Hieda M. (2019) Signal transduction across the nuclear envelope: role of the LINC Complex in bidirectional signaling. Cells, 8, pii: E124. doi: 10.3390/cells8020124.
  • Katahira, J., Ishikawa, H., Tsujimura, K., Kurono, S., Hieda, M. (2019) Human THO coordinates transcription termination and subsequent transcript release from the HSP70 locus. Genes Cells, 24, 272-283. doi: 10.1111/gtc.12672.
  • Imaizumi, H., Sato, S., Nishihara, A., Minami, K., Koizumi, M., Matsuura, N., and Hieda, M. (2018) X-ray-enhanced cancer cell migration requires the linker of nucleoskeleton and cytoskeleton complex. Cancer Science, 109, 1158-1165. doi.org/10.1111/cas.13545
  • Matsumoto, A., Matsuura, N., Hieda, M. (2018) Detection of SUN1 splicing variants at the mRNA and protein levels in cancer. Methods in Molecular Biology, 1840:307-319. doi: 10.1007/978-1-4939-8691-0_21.
  • Nishioka, Y., Imaizumi, H., Imada, J., Katahira, J., Matsuura, N., Hieda, M. (2016) SUN1 splice variants, SUN1_888, SUN1_785, and predominant SUN1_916, variably function in directional cell migration. Nucleus, 7, 572-584. doi: 10.1080/19491034.2016.1260802.

詳細な業績はこちらに→ orcid.ID https://orcid.org/0000-0002-9492-7506

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